
1970年から、必ず毎年1本作り続けている天才監督ウッディー・アレン。
彼の40本目の一本にして、5年ぶりに舞台をヨーロッパからアメリカに戻した1本。
ウッディーテイスト満載の「人生万歳!」をご紹介しましょう。

理屈っぽさ: ★★★★★
愛: ★★★★★
宇宙のふしぎ:★★★★★
監督・脚本はウッディー・アレン
(「アニー・ホール」「マンハッタン」「マンハッタン殺人ミステリー」「ハンナとその姉妹」
「カイロの紫のバラ」「ギター弾きの恋」「おいしい生活」「ラジオ・デイズ」他多数)
出演は
ラリー・デイヴィッド:as Boris
(「サタデーナイトライブ」TV 作・出演、「隣のサインフェルド」TV 作・製作・出演、
「ラリーのミッドライフクライシス」TV 作・製作・出演、「ラジオ・デイズ」出演他)
エヴァン・レイチェル・ウッド:as Melody
(「アクロス・ザ・ユニバース」「レスラー」「プラクティカル・マジック」他出演)
パトリシア・クラークソン:as Marietta
(「グリーンマイル」「シャッターアイランド」「エイプリルと七面鳥」
「グッドナイト&グッドラック」「それでも恋するバルセロナ」他多数出演)
エド・ベグリーJr.:as John
(「St.Elsewhere」TV出演、「スモーキング・ハイ」「シー・デビル」
「バッドマン」「バッドマン・フォーエヴァー」他多数出演)
75歳にして天才は健在!
映画を観てとてもいい気分になったのは久しぶりです。
ウッディーアレンが好きな人はもちろん、ウッディーアレンを知らない方でも

そんな方にはぜひお勧めしたい一本です。
ではこの後は映画の入り口をご紹介しましょ。
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舞台はNY,ダウンタウン。
オープンテラスで世の中を批判しあう中年男性4人。
その中の1人、最も理屈っぽく、このうえなく考えすぎな男ボリス、
が、スクリーンの壁を越えて観客に語りかけます。
"(You should do)Whatever that works"
何でもありだ。人生、何でもありなんだ。 と。

そんな主人公の"ほぼ"天才、
ボリスの目の前に突然現れた若き家出少女メロディ(Rachel)。
これを皮切りに変わっていくみんなの人生。

ボリスが語ってくれるこれは、いつのどの国のどこの誰にでもきっと当てはまる、そんな

ボリスを演じるのは、「ラリーのミッドライフクライシス」という海外ドラマで
面倒くさいきわみの中年男を演じているラリー・デイビッド。
これまでならきっとウッディー自信が演じていたに違いないキャラクターを
彼に劣ることなく見事に演じています。
しかも、悪態が80%の「ラリーのミッドライフ〜」と違って
ボリスはどこか愛すべきキャラクターなのがうれしいところ。
たとえば、最初にボリスが言うせりふ、タイトルでもある
"Whatever that works"
翻訳すると、何でもあり、も、
正確にはこういうのです、
"(You should do)Whatever that works,
as long as you don't hurt anybody"
「何でもあり、誰かを傷つけさえしなければ」 。
人と関わることを誰よりもめんどくさがっているボリスですが、
誰よりも誰かを悲しませるのがいやなのです。
正直に言えば、ここ数年のウッディーの作品はそこまで好きではありませんでした。
なんて本当は
40年間も毎年映画を欠かさず世に送り出しているだけでもものすごいことなんですけどね。
Reviewをする人なんて勝手なものです。
この作品に関しても、
ウッディーらしい1本だけど、これまでのウッディーのいい作品をくっつけただけ、
なんて批評が実は多いのだとか。
でもね、私がこの作品に関していえば、ということは、いいとこどりの1本だと思うのです。
ウッディーアレンの「らしさ」が満載で、でも新しいストーリーで、かつハッピーな1本。

「神なんていないと気づきなさい」ってボリスに言わせておきながら
大きな宇宙の神秘を描いているところもウッディーってばなんてブリリアントなのでしょう。
メロディー役のレイチェルウッドをはじめ、
彼女の母マリエッタ役のベテラン、パトリシアや父ジョン役のエドのキャラクターも最高です。
ボリスと一緒にアップダウンしたり、ボリスにいらっとしたり、驚かされたり、
他のキャラクターにもいらっとしたり、笑顔にしてもらったりするうちに、
ふと気づけば、
一回の人生で、サイクルは1回だけじゃない。と教えてもらえている。
そんな1本。
公開は12月11日。
人生がすきになる一本です。 ぜひ ⇒◎